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スローフード「ふるさと食風土記」
 
第6回 太平燕(たいぴーえん)熊本県熊本市   熊本名物といえば普通は馬刺し、辛子蓮根が思い浮かぶが、よそではほとんど知られていない名物料理がある。給食にもでるほどポピュラーな春雨料理、太平燕だ。栄養のバランスがよく、低カロリーなため、最近は健康食としても注目されている。
 
野菜たっぷりカロリー控えめ 華僑が伝えたヘルシーフード
 太平燕はいわば春雨スープで、白菜またはキャベツなどの野菜に豚肉、エビなどを炒めた具を入れる。それに加え揚げたゆで卵「虎皮蛋」(フーヒータン)が入る。熊本市内では昭和の初めから中華料理店や家庭で食べられてきた。昭和40年頃からは給食にも取り入れられ、今も2か月に1度くらいででるそうだ。
  「県外にないとは思てもおらんだったです。学校では給食にも出てたし……」。ホームページ「熊本太平燕倶楽部」で全国に太平燕を紹介した斉藤誠喜さんが言うように市民は全国どこにでもあるものだと思っていた。
  市内にある創業70年の中華料理店、紅蘭亭の葉山栄司常務にそのルーツを聞いた。「明治33年(1900)に中国・福建省から来日した曽祖父たちが、昭和9年に開業した頃から太平燕は定番メニューです。本場の太平燕は、祝いの席などで食べる肉団子入りスープですが、熊本の太平燕はこれに春雨を加えて個食にするなど、華僑(かきょう)たちが身近な食材でアレンジしたおふくろの味なんです」。
一度にたくさん作る時は、ぬるま湯でもどした春雨をスープに入れておく
春雨を入れたスープに炒めた具を入れて少し煮込めばできあがり
(上)一度にたくさん作る時は、ぬるま湯でもどした春雨をスープに入れておく

(下)春雨を入れたスープに炒めた具を入れて少し煮込めばできあがり
 
友住容子さん宅で太平燕を囲む友住さんとその友人
表面にシワがよって虎模様になるから虎皮蛋 1羽分の鶏ガラと手羽先を1時間煮込んで作ったスープ
(上)友住容子さん宅で太平燕を囲む友住さんとその友人
(左下)表面にシワがよって虎模様になるから虎皮蛋
(右下)1羽分の鶏ガラと手羽先を1時間煮込んで作ったスープ
「熊本の郷土料理」
 平成16年3月に九州新幹線「つばめ」が開業するにあたり、“つばめ”にひっかけて「熊本の郷土料理である太平燕を全国に広めよう」と、潮谷義子知事や地元の飲食、観光関係者が参加する「燕の会」をたちあげたのが市内に住む友住容子さん。家庭の太平燕を味見させてもらおうと、友住さん宅に伺った。
  友住さんはまず虎皮蛋作りにとりかかった。高温の油にゆで卵を放り込む。ものの1分で表面に虎の模様が浮き出てきた。「このしわにスープがからまっておいしかつよ」。次にフライパンでニンニク、ショウガ、ネギなどを炒め、香りが出てきたところで豚肉、野菜、エビなどの具を加え、塩だけで味を調える。「少なか人数ならここにスープと春雨を入(い)るっと、フライパンいっちょでできるとよね。ばってん今日は7人分だけん」と、春雨を入れた鶏がらスープの中に炒めた具を入れ、少し煮込んででき上がり。
 
「熊本の“つばめ”は全国へ」
 白濁したスープを一口すする。さっぱりしているが、具からだしが出ていてコクもある。春雨はこしがありぷりぷりとした食感。緑豆からとれるでんぷん100%の春雨なので、通常の春雨よりのびにくい。野菜と春雨にはスープがしみ込み、噛むほどに旨みが広がる。塩だけの味付けなので野菜や肉、海鮮など素材そのものの味が際立っている。
  「栄養バランスがよくお腹にも優しいので風邪をひいた時や離乳食、高齢者の食事などにおすすめです。カロリーも少なかけん夜食にもよかよ」と友住さん。
  東京にある熊本県のアンテナショップ、銀座熊本館でも太平燕を販売している。平成16年度の売り上げは前年の約3倍。熊本の“つばめ”は全国へと広まりつつある。

(文/中 文子 写真/藤山寛治)
 
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